吉敷竹史の元妻・加納通子は意識の底に眠る記憶をたぐり、数奇な運命に翻弄されてきた自らの半生を振り返っていた。

昭和三十三年に盛岡で起きた、一家惨殺事件の再捜査に乗り出した吉敷が対面した関係者はなぜか、元妻、通子と因縁の深い人々だった。

マッターホルンを望むスイス・ツェルマットの夏。シェイクスピア劇の名優が突然知った謎だらけの死。

黒い傘に風変わりな帽子―生徒たちを引率して水族館へ見学に来たミス・ヒルデガード・ウィザーズ。

金は天下のまわりもの。財布の中で現金は、きれいな金も汚ない金も、みな同じ顔をして収まっている。

伊勢から神戸にかけての約三百キロにわたる「歴史街道」は“日本版ロマンチック街道”ともいわれている。

栗村夏樹は都内の短大の二年生で剣道三段の腕前。彼女の母・幹子が突然襲撃された。

操の元に届けられた差出人不明の、保育園と一枚の絵の写真。次いで見知らぬ少女のポートレイトも届き…。

全長4000メートルの海峡大橋を支えるコンクリートの巨大な塊“アンカレイジ”。

心臓移植を受けた青年が見始めるおかしな夢。タブーを犯しドナーを探す青年がつきとめた最先端の恐るべき臓器移植の実態。

海に臨む瀟洒な邸宅、十棟が並ぶ「ヴィラ・葉崎マグノリア」。その一棟、密室状況の空き家で死体が発見された。

火の国で人が殺される―警視庁捜査一課宛に手紙が届いた。

最終学年を迎えた「私」は卒論のテーマ「芥川龍之介」を掘り下げていく一方、田崎信全集の編集作業に追われる出版社で初めてのアルバイトを経験する。

陽光あふれる4月のある朝。ロンドンの埠頭で、汽船からの荷おろしが始まった。

有名写真家・君原、女優の真木が相次いで殺され、そのどちらの犯行現場にも真っ赤なサクランボが残されていた―。

関東新聞の記者・渡辺公一は、取材で訪れたテーマパークで毒を塗ったボールを何者かにぶつけられ意識不明に陥る。

1940年。内戦の痛手いまだ癒えぬマドリードに、日系ペルー人の男が現れた。

闇の世界の支配者となるべく謀略を巡らせ、暴力とカネで禿鷹のごとく敵を食い尽し、のし上がっていく加賀篤。

推理作家・江葉章二は、かつての教え子・白河ミレイの罠にはまり、彼女の家の書斎に、足を鎖で繋がれ監禁されてしまう。

推理作家の庄司桐子は、テレビの画面に現れた女の顔を見て愕然とする。

「夫は吸血鬼かもしれない」―マタニティ雑誌「プレマム」編集部の布施乃理子あてに不審な手紙が届いた。

木曾経文村の守り神・地蔵菩薩が盗まれ、村の代表として、越路武平が探索の旅に出た。

排気量2000CCの改造化け物バイク、危険を孕むタンデムで闇を疾走する男。濃厚な夜の気配が押し寄せる…。

堕胎医が軒をつらねる江戸・薬研堀。腕利きの闇医おげんの元に、手込めによって陰部を裂傷した娘が施術に訪れた。

新たなる恐怖と戦慄の始まり。鬼才が放つ長篇ホラーの快作。

今宵は、魔夏の夢をお見せしましょう。したたる緑。

読者に挑戦状を叩きつける、13人の頭脳明晰な数学者たち!ミステリー界の新たな才能を探すため、1992年にスタートした本格推理の一般公募も、早7回目。

独立国家共同体が崩壊、軍部主導で復活したソ連は突如スカンジナビアに侵攻を開始した!超大国の威信回復を賭けた強大なソ連軍の前にノルウェーの運命は風前の灯に―孤立無援のまま侵攻軍に立ち向かう米空母戦闘群にソ連北洋艦隊の原潜が、そして新鋭空母が牙をむく。

心霊学研究者モンタギュー博士は、幽霊屋敷として知られる「丘の屋敷」を調査するため三人の男女を呼び集めた。

職業医師として、年来、私は性的強迫観念が色濃く滲み出た情事の破局に関心を懐いている―本書の語り手、ピーター・クリーヴはそう語る。

映画脚本の基礎を確立した、ハリウッドの大物ゴードン・キャントウェルの邸宅で、月例パーティが催された。

あの顔は、殺人事件の被害者にそっくり…。

腐蝕した都市・東京のコンクリートの樹海を、巨大な虎が駆けぬける！　愚行を重ねる人間どもの卑小さを嘲笑うかのように…。

関東取締役出役―関八州の悪党者を取り締まる通称“八州廻り”の桑山十兵衛は男やもめ。

それらは全く不可解な事故としか思えなかった。目撃していた人々も皆、口を揃えてそう言った。

奔放に、自由に、いつも夢をもって生きる女性を描いたカポーティの傑作。

寛永十九年春。女人救済で名高い、鎌倉東慶寺の山門をおびただしい女性の血で染めた「会津七本槍」の七剣鬼。

怨敵「会津七本槍」の四人までを討ち果たし、加藤明成に迫る復讐の刃!だが見よ、七本槍衆の総帥、不死身の妖人芦名銅伯の自信に満ちた不敵な笑いを―。

警部に昇進して新しい職場に配属されたキャロル。さっそく多発する不審火に目をつける。

「猿渡」と「伯爵」のコンビが飄々として行くところ、日常世界は薄暮の幻想地獄に変貌する。鬼才津原泰水、注目の処女短篇集。

岩手県の清流・葛根田水系で二人の釣人が失跡した。数日後、下流では女性の扼殺死体が発見される。

国際生花シンポジウムの開催地・京都で雑誌記者が謎の死を遂げた。

変わり者の整体師合田力は、“身体の声を聞く”能力に長けている。

殺人現場に残されたのは、赤いマジックで書かれた数字の「1」。

美女連続猟奇殺人の「真犯人」はお前だ!息を呑む大逆転劇、長編法廷ミステリー。

2021年、世界中でなぜか子供が生まれなくなり四半世紀が過ぎた。

公園で殺人犯を張込み中の、捜査一課刑事・片山義太郎は、イチゴの絵柄の可愛いハンカチをベンチから拾い上げた。

「無数の白い蝶たちが漆黒の闇の中で、舞い続ける…」―1979年、僕こと「シノ」は大学三年生の秋、密室状態の隣の部屋から突然女の悲鳴を聞いた。

奇術師フーディーニは、ある貴族の屋敷を訪れた。知友のコナン・ドイル卿も招かれ、降霊会が催されるからだ。

「発明家クレイソンを調査してほしい」在米のコンピュータ・セキュリティの専門家笹生勁史に、通産省から極秘依頼があった。

現代の日本に信じられない名前のバス停が実在する。

仕事に縛られない気楽な人生が最高さ―ディミトリにとって、親友のマーカスのように真面目に働くのは性分ではなかった。

風光明媚な英国の田舎町キングズマーカムでは、ロンドンへの交通の便を良くするため、かねてからの懸案だったバイパス道路建設計画が、急ピッチで進められていた。

「私の闘いはまだ終っていませんから…」バルビゾン派の名画を巡る「絵画引き渡し請求事件」の真相に迫る!画商たちが仕組んだ事件の顛末と理不尽な裁判の実相を徹底的に暴く精密ノンフィクションノベル。

『アメリカ文学界の魔犬』と呼ばれるこの作家を育んだのは、ありきたりの文学修行ではない。

愛媛県警の大鷹鬼平は、旧北陸本線の廃線を旅する途中、新潟県の親不知で殺人事件に遭遇した。被害者は企業年金基金の元理事長。

入院、退社、離婚という心労の果て、江戸川沿いの古い一軒家に棲みついた男。幽き暮らしに現れた謎の女性との情欲の行方は。

新宿に北の国から謎の男が現れる。獣のような野性的な肉体は、特別な訓練を積んだことを物語っていた。

ついに、北の国から来た男の正体と目的が分かった。その瞬間、新宿署の刑事だけでなく暴力団の幹部までもが息を呑んだ。

亡き父の後を継いで考古学者となった聡明な女性ジリアンは、アマゾンの奥地へ旅立った―そこにかつて石の都が存在していたという父親の説を立証するために。

警視庁捜査一課に赴任してきたばかりのノンキャリアである西条洋一。

「わたし、本当に今幸せなのよ。これ以上、何もいらないの。

小滝橋警察署に勤務する阿久津は、31歳のホステスから、結婚を約束した男と急に連絡がとれなくなったと相談を受ける。

橋口を追ううちに、阿久津は被害者の中に、かつての恋人美和子がいることに気付く。

ある日、大好きなヴァン・モリソンのCDが一枚消えていた。しばらくして、二枚目も。

「侮辱され、ナイフで刺し殺してしまった…」その電話が、明京病院関係者を次々に襲った連続殺人事件の始まりだった。

棟居刑事シリーズ最新作。過去を消した男と少女の純愛を引き裂く運命の矢!マル暴刑事、女性代議士、暴力団構成員…。

人身売買ブローカーから逃てきたタイ人女性トウイを、ふとした縁で、ホストクラブのトップホストの有光は自分の部屋にかくまってやる。

霧笛が帝都の闇を震わせたその夜一隻の軍艦が水底に消えた。海軍の密命を受けその島に赴いた私立探偵十三郎が見たものは。

図書館警察―あの懐かしい薄闇には怖ろしいものが…。サン・ドッグ―異世界を写し出すポラロイド・カメラの怪。

オカマと同棲して気楽な日々を過ごす「ぼく」は、いかにして甘えを克服していったのか。

奈美の飼い犬、マッハが散歩中に指輪をくわえてきた。マッハに導かれた場所には、ひよこが生き理めにされていた。

対人関係には、おのずと暗黙のルールが成立し、それを無視する者には制裁が加えられる。

京都府警の検視官・江夏冬子は、長崎でアナウンサーをしている旧友・西山百合子を訪ねた。

When his illegitimate son is wrongly accused of murder, Billy Bob Holland stands alone against the ruthless powers controlling t

人々が住む場所を失い、食物を求めて街をさまよう国、盗みや殺人がもはや犯罪ですらなくなった国、死以外にそこから逃れるすべのない国。

依頼を受けること。そこに、理由などはいらない…。

大江戸の風物をめぐる七つのからくりを八丁堀同心・夢裡庵が解き明かす。

ジャパン電装社員・大熊岩雄は失踪した先輩社員・富岡の妻から一枚のDVDを託された。

峻険な岩場の多い後立山連峰のなかでも代表的難所といわれる不帰ノ嶮で、ニュージーランド人登山家の遭難事故が発生。

元俳優の警備員スコット・エリオットは、映画監督ドルリーから、撮影現場の警備の依頼を受けた。

偉大な詩人エミリー・ディキンスンの没後百年シンポジウムは不穏な空気につつまれた。

七月は灼熱の昼下がり、幻覚にも似た静寂な光の中、一人の男がリスボンの街を彷徨い歩く。

科学者ジョー・コリガンは見知らぬ場所で目を覚ました。

「なぜ僕の家が狙われたんだ」十六年前、押込み強盗に両親と妹を殺されたプロボウラー草柳は、偶然見付けた盗品のボールに犯人の手掛りをつかんだ。

自白をした被疑者がなぜ無罪に。法は人を救えない。

米軍の支配下にある小さな無人島で、白骨が五体発見された。

「念力で人を殺したら罪になるんですか」人気超能力者・田代貢はテレビ番組収録後に殺人を宣言した。

東海道新幹線車内で時限爆弾が炸裂、乗客の小柳夫妻が即死した。

「これは殺人じゃないわ。処刑よ」リディアは宣言した。

友人の誘いで会津若松を訪れた二階堂日美子。そこで彼女は、地元の山林王・内山一族を襲う殺人事件に遭遇する。

高校の実習の授業中、コンピュータ制御されたドリルの刃が生徒の掌を貫いた。

江戸時代から遊廓を営んでいた旧家にもたらされた殺人予告。かつて狂死した遊女の怨霊祓いの夜、果たして起きた二つの殺人事件。

幸せな結婚生活を送っていた阿川澄江に一通の手紙が届いた。

麻衣子たちは、軽井沢の林道で、闇に浮かびあがる白い人影を見た。

奥多摩の山荘で発見された、美術商鳥居忠直の刺殺体。鳥居は詐欺師の春原から時価二億円の仏像を預かったまま失踪中だった―。